特集 看護教育がチーム医療にできること
看護管理者から看護教員に戻って得た気づき
西村 伊知恵
1
1佐世保市立看護専門学校
pp.812-815
発行日 2008年9月25日
Published Date 2008/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101015
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はじめに
13年前,看護基礎教育の現場から臨床(佐世保市立総合病院)に戻った筆者を,さりげなく手助けしてくれたのは,他でもない筆者の教え子である,卒業生たちであった。臨床の場で彼女・彼らがとても頼もしく思えるとともに,今や“同僚”となった卒業生たちと,同じ仲間として看護の話ができるようになったことは,看護教員であった私の大きな喜びであった。それまでの先生と学生という関係性では越えられなかった壁を越えて,いわゆる「話が通じる」ということを実感できたときでもあった。
その一方で,病院という組織・機構では,看護師と医師との関係において距離があり,お互いがしっかりと話し合うことを避けている,あるいはしっかりと話し合うことができない環境があるように思えた。看護師・医師ともに,「相手にこれ以上は言わせないというもの(職分・背景・環境)」をもちながら一緒に仕事をしているように思えた。この思いは,ふたたび臨床の場から基礎教育の教員・管理職として戻ってきた今も変わっていない。
前掲の論考で早田宏氏が指摘する,医師と看護師の“不協和音”とでもいうべきものの原因はどこにあるのだろうか。それは,医学と看護学の基礎教育だけに由来するものだろうか。そして,患者本位の臨床を支えるためのチーム医療というよりも,医療者の本来あるべき姿に近づくために何か解決策はないのだろうか。
看護管理に携わってきた者として,また今日,教員である身としての私見を述べる。
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