連載 看護基礎教育における実践的医療安全トレーニング・1【新連載】
なぜ,卒前から医療安全教育が必要か
石川 雅彦
1
1国立保健医療科学院政策科学部
pp.756-761
発行日 2008年8月25日
Published Date 2008/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101002
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■連載開始にあたって
医療安全を取り巻く状況は,近年,急激な変化を遂げ,新たな政策や制度が策定され,臨床においては医療安全管理者の配置を始めとして積極的な医療安全推進の取り組みが行われてきたが,昨今はさらにその質が問われる時代になりつつある。看護基礎教育においても,カリキュラム改正に向けて医療安全教育をどのように構築するかなどの課題を抱えていると思われる。
本連載では,カリキュラム構築に関する内容を検討することではなく,看護基礎教育における医療安全教育の内容を具体的に検討する際のヒントを提案することに焦点をあてたい。これまで筆者が臨床のトップマネジメント(病院長・副院長)やさまざまな職種の医療安全管理者などに対して実施してきた医療安全教育の内容を,学習途中で臨床現場での経験が少ない学生に提供する方法について,具体的な提案を述べていきたい。看護基礎教育の場で,医療安全教育を担当している教員の方々が,新たな取り組みを検討する際のヒントとして何か一つでも,卒前の医療安全教育に活用していただければ幸いである。
なお,本連載執筆にあたり,医療事故に関連する用語をどのように表現するか検討した。本連載では,さまざまな定義を考慮して,患者に障害が発生しなかった事例,もしくはタイムリーな介入により事故に至らなかった事例や状況を「インシデント」,患者に何らかの障害が発生した事例を「アクシデント」と表現する。
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