特集 臨床につなげる専門基礎科目
看護業務から見る看護師に必要な薬の知識―剤形の特徴から薬を学ぶ
大谷 道輝
1
1東京逓信病院薬剤部
pp.208-215
発行日 2008年3月25日
Published Date 2008/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100877
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
毎日のように報道される医療事故は,いまや社会的問題となっています。医療事故のなかで目立つのは,薬に関する事故です。これら薬に関する医療事故や,事故には至らないヒヤリ・ハットでは,薬剤師や医師ばかりでなく,薬に触れる機会の多い看護師が関わる場合が多く認められます。
なぜ,薬に関する事故やヒヤリ・ハットが多いのか。看護師が薬に関して専門家である医師や薬剤師等から学ぶのは,学生時代の90分15回の授業だけです。学生時代の3年間でわずか90分の15回,しかも1年生のときにすべて行われます。学問としてしっかりと講義を聴くのは,医療についてほとんど知識のない1年生のときなのです。私も看護学校で講義を毎年行いましたが,学生は市販薬の名前すらほとんど知らないのが現状でした。その後は臨床実習で先輩の看護師から現場で教わったり,自分で勉強することになります。国家試験に合格することはできても,これだけで臨床現場で自信をもって患者に配薬や与薬をしたり,注射薬を混合あるいは投与することができるのでしょうか?
本稿では看護師の薬に関する業務から,看護師に必要な薬の知識とはどのようなものか,薬剤学を学ぶことの意味について述べたいと思います。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.