連載 プラトンからはじめる教育学入門・7
―認識論と教育(2)―知ることは,よく生きること
山口 栄一
1
1玉川大学教育学部
pp.172-175
発行日 2008年2月25日
Published Date 2008/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100869
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「知る」とは何か
私たちが「教える」さきには,学生の「学び」があります。私たちが,「わかる」とか「知る」といったことばを問題にするのは,それらのことばが,「学ぶ」ということばの下位概念,言い換えれば実質的な内容であるからにほかなりません。したがって,それらの概念を明確にすることが必要ですし,そのためには,それらのことばを私たちはどのように使用しているかを思い起こし,分析することが求められます。
A サスケは,おばけがいることを信じている。
B サスケは,おばけがいることを知っている。
AとBの文の違いは,「信じている」と「知っている」の部分です。私たちには,Aは受け入れられても,Bは受け入れられない。それはなぜか。その答えは私たちのなかにある,というのが教育の分析哲学のポイントです。
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