第26回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 特別講演1
伝えることと伝わること—認識のからくりを知る—
植垣 一彦
1
Kazuhiko Uegaki
1
1神奈川県立保健福祉大学実践教育センター
1Center for Professional Education, Kanagawa University of Human Services
pp.59-65
発行日 2022年3月31日
Published Date 2022/3/31
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1.はじめに
植垣一彦と申します.「伝えることと伝わること—認識のからくりを知る—」という演題をいただいています.本学術集会のメインテーマにある「伝え伝わる成長の和」にちなんで企画された,とうかがっています.「ねらいと概要」を確認するところから始めます.
わたしたちは,じぶんの「思い」や「考え」,すなわち「認識」を「伝える」とき,相手に届いて欲しいことを願う.しかしその前に,じつは問われるべきことがある.それは,伝えたい対象についてのこちらがわの認識の深まりはどうなのか,というもんだいである.つまり,「伝える」と違って「伝わる」には,こちらがわと相手がわ双方の認識の深まりが不可避となる.
では,認識の深まりは,どのような思考過程で実現するのか.いいかえると,わたしたちの認識はどのようなプロセスで深まってゆくのか.ここでは,「認識の三段階連関理論」(庄司和晃)をとおして,「伝わる」ための要件が「認識を深める思考過程」であること,をみていきたい.
以上が,これからお話しする「ねらいと概要」です.(植垣注:「抄録」にもう少し詳しく述べています.ご参照ください).副題に「認識のからくりを知る」とありますが,「伝える/伝わる」という活動はじつは,すぐれて「認識論」の守備範囲なのです.ですから,話の順序として,「認識のからくり」をおさえて,つぎに,「『伝えること』と『伝わること』」の話に移っていきます.
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