特集 コミュニケーション能力と倫理
コミュニケーション能力と倫理
水嵜 知子
1
1長野県看護大学看護学部生活援助学講座
pp.112-117
発行日 2008年2月25日
Published Date 2008/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100857
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基礎看護実習を終えた学生の反省
看護学生が初めて入院患者を受け持ち,学内演習で覚えたばかりの看護技術を実践するのが基礎看護実習であり,学生にとってはここから本格的な臨地実習がスタートする。基礎看護実習を終えた学生からは,「患者さんとのコミュニケーションはとれたけれど,情報収集がうまくいかなかった」「患者さんとはよいコミュニケーションができたけれど,信頼関係が築けるところまではいかなかったと思う」といった,受け持ち患者とのコミュニケーションを取り上げた反省や感想が多く聞かれる。なかには,「患者さんとのコミュニケーションがうまくとれなかった」と意気消沈している学生もいる。
基礎看護実習では,コミュニケーション技術を用いて患者との意思疎通を図り,よりよい人間関係を築くこと,そして看護過程の展開の基礎を受け持ち患者への援助を通して学ぶことを主要な目標としているのであるから,学生からこのような反省の言葉が聞かれるのは当然のことかもしれない。しかし,ここで考えてみたいのは,学生が言うコミュニケーションとはいったい何を意味しているのだろうかということである。
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