特集 学生のヒヤリ・ハットから学ぶ看護技術テキストの作成
学生のヒヤリ・ハット体験をエビデンスにしたテキストづくりへの挑戦
川島 みどり
1
1日本赤十字看護大学
pp.870-873
発行日 2007年10月25日
Published Date 2007/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100783
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はじめに
「事実は小説よりも奇なり」とはバイロンの言葉だというが,事故事例を見るたびにこの言葉を思い出す。学生のヒヤリ・ハットも同様である。教育的な立場でこうしたミスをしがちではないかと,教師がそれらしい事例を作ってみても,それはあくまでも虚構の域を出ない。つまり,実際の学生のヒヤリ・ハット事例は,「何故?そんなことを?」と,常識や理解を越えるような学生の思考や行動が,リアルに迫ってくる。授業や演習で安全性を基本にして教授しているはずなのに,現実の実習場面でのこれは一体どうしたことか。
3年前に「ヒヤリ・ハットをエビデンスにした基礎技術の研究」に私たちが取り組んだのは,こうした問題意識からであった。そして現在,その成果を看護教育界に還元する方法として,実習に役立つビジュアルなテキストをつくろうとしているのである。それも,従来のいわゆるテキストとは違って,3年間の調査結果をもとにした内容で構成し,さらに,その一部をテキストの読者対象となる学生に読んでもらって評価した上,全体の編集に反映させるという画期的な試みによって,執筆・制作しつつある。
そこで,本稿ではその一連の課程をふり返りながら,結果の概要を述べる。
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