特集2 補完代替医療の基礎教育への導入
東洋医学のエッセンスを加えた新しい看護学教育カリキュラム―明治鍼灸大学看護学部の場合
森 美春
1
,
種池 禮子
1
1明治鍼灸大学看護学部
pp.733-739
発行日 2007年8月25日
Published Date 2007/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100750
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はじめに
日本の看護学教育における高等教育(学士課程)は1952年に開始され,その後40年間は大学数が増加しなかった。しかしそれ以後,看護職者に対する専門職としてのニーズを背景とし,看護師等の人材確保の促進に関する法律(1992年)などを契機に大学数は急増した。1991年にわずか11校であった学士課程が,2007年度には,157校にまで増加した。こうした状況のなかで,特色のある教育カリキュラムは大学関係者のみならず,看護職を志す次世代の人々や看護関係者にとって,大きな関心事となっている。
本看護学部は,2006年4月,鍼灸学部鍼灸学科および保健医療学部柔道整復学科を有する医療系大学に新設された。看護学は,これまで西洋医学を背景に発展してきたが,対象を全人的に捉え,対象の生命力の消耗をできるだけ最小限にとどめ,自然治癒力を促すこと(F・ナイチンゲールの定義)など,東洋医学の思想や方法との共通点は多い。本看護学部では,確かな根拠に基づく西洋医学をベースに,自然治癒力と全人的医療を掲げた東洋医学のエッセンスを加えた新しい看護学教育を行うことを特色として,京都の地に誕生した。コンプリメンタリーセラピーという言葉が徐々に一般に知られつつある現在,補完・代替療法を取り入れた新しい看護学教育に関心を寄せておられる方々も多いのではないだろうか。
ここでは,補完・代替療法を導入した,本学ならではの新しい看護学教育について紹介させていただく。
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