特集2 補完代替医療の基礎教育への導入
補完代替医療の現状と看護教育で教えることの意義
小板橋 喜久代
1
1群馬大学医学部保健学科
pp.728-732
発行日 2007年8月25日
Published Date 2007/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100749
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
補完代替医療の潮流
社会のなかで主流になっている価値観や生活スタイルへの疑問,治療効果と患者の生命の質との乖離などから,人々は,健康問題はもはや西洋医学だけでは解決できないと感じ,それを補う別の治療法を求めた。それが補完代替医療(Complementary Alternative Medicine,以下CAMと略す)である1)。しかしその内実は,科学的検証がなされておらず,インチキ療法といわれるようなものまで含んでいるといわれ,それに関心をもつことに抵抗を感じている医療者は多い。しかし一般市民の関心は高く,実際にも広く利用されている。5年前になされた鳴井2)の調査では,何らかの病いに苦しむ人は,医師に相談しないでCAMを使い,ナースはCAMの相談相手として期待されていない,と報告された。
そうした状況が急速に変化してきた。CAMによって国民の健康生活が向上し,さらには健康保険財政によい影響が生じるという期待もある3)このようななか,CAMの潮流をどのように受けとめ,対峙したらよいのだろうか。自然治癒力を引き出そうとするCAMに対して,病気は完全に排除しなければならないものなのか,という病気に対する考え方の転換も含めて,看護あるいは看護学の立場からの発言が求められている。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.