連載 エキスパートナースの肖像
事例を通して看護師のキャリアを積むことの意味を考える・1【新連載】
臨床での卓越した実践はどのように生まれるのか―連載を始めるにあたって
佐藤 紀子
1
1東京女子医科大学大学院看護学研究科(看護職生涯発達学)
pp.54-59
発行日 2007年1月25日
Published Date 2007/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100596
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■私の研究テーマ
看護師が臨床で経験を積むことの意味を考え続けて,20年近くの歳月を過ごしてきた。当初は,1年目の看護師と10年目,そして20年目の看護師の実践の何が違うのかを,言葉にできないもどかしさがあった。その頃,臨床で主任看護師として仕事をしていた私は,看護師たちが暗黙の了解のうちに「A看護師は,今日は大部屋と重症ひとりを持っても大丈夫」「B看護師は,大部屋と個室をふたつ担当できるよね」という朝の打ち合わせの会話を聞いて,「本当にそのとおりだ」と納得していた。
しかし,翻って何を根拠にそのような会話が成り立っているのかと考えると,そこには明確な解答はない。思えば,その疑問に応えようと,今日まで曲がりなりにも看護学の研究者として仕事をしてきたのだと思う。
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