特集 看護の歴史はおもしろい 語り継がれる人と時代
第1部 私の歴史研究
看護の戦後史の研究―GHQの看護改革を中心に
ライダー島崎 玲子
1
1青森中央短期大学看護学科
pp.944-953
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100521
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
看護の戦後史の研究背景
1945年4月,私は高知市の土佐女学校に入学しました。そして8月15日,学校の命令で疎開していた豊国寺で天皇陛下の敗戦の玉音を聞きました。日本は神国であり,絶対に負けないと信じていた生徒たちは非常なショックを受けました。生徒たちは先生の制止を振り切って,「アメリカ人に殺されるならお母さんと一緒に」と泣きながら山を駆け下り,復員軍人で溢れる満員の汽車に飛び乗り,焼け野が原の高知市に帰りました。
しかし,占領はスムーズに実.施され,戦前のプロパガンダで信じていた「米英人は鬼畜で野蛮だ」ということもありませんでした。学校はいつの間にか組織が変わり,6・3・3制度の導入,女学校はなくなり中学校3年,高等学校3年の男女共学となりました。大好きだった東洋史もなくなり,新しく社会科や英語を学習するようになりましたが,いままで信じていた天皇陛下は絶対的な存在だという信念から象徴・シンボルに変化し,軍国主義の教育から民主主義の教育になぜ変化したのか,説明はありませんでした。それでも,占領前とは違って非常に気分的にもリラックスし,民主主義がいかに心地よいものかを実感しました。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.