特集 妊産婦と食生活
戦後の食生活史—特に現在の特徴
大塚 力
1
1戸板女子短期大学
pp.250-254
発行日 1980年4月25日
Published Date 1980/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205694
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.食糧自給放棄の日本
山梨県にはホウトウと称する古い郷土料理がある。手打ちの粉つきウドンを湯通しせずに,別に煮てある野菜類のなかに煮込んで,味噌仕立てにしたものである。要するに味噌仕立ての野菜入り煮入みウドンのことである。湯通しせず粉つきのままというのは,粉の流失をふせでいるためである。野菜類は増量材の意味がある。食物の発達段階からすれば,ウドンの一歩手前の食べものということになる。
山梨県人はこれを山梨特有の食べものとし,郷土料理として,その味をなつかしみ,また誇りともしているわけであるが,調べてみるとホウトウの現分布は案外広い。隣接の長野県につづいて群馬,埼玉,東京,神奈川,静岡の1都6県にまたがっている。
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.