特集 看護の歴史はおもしろい 語り継がれる人と時代
第1部 私の歴史研究
看護歴史研究50年・『病家須知』に至るまで―サークル集団学習を貫いて
坂本 玄子
1
1看護史研究会
pp.954-961
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100522
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看護歴史研究・教育の充実をめざして
私の看護史研究の出発は,はるか50年前の昔に遡る。現在は,もう人生も終着駅目前の年齢というのにまだバタバタと駆け歩き,プランを練ったり,若い仲間との共同学習を楽しんでいる。そんな自分を意識するとわれながら呆れる。そして己が,この雑誌の読者たちのような若い感性もなく,凄まじい変化を示す現代になじんで歴史を学ぼうとする強さも気力も体力もないことを認めざるを得ない。
だが,ふり返ってみると50年前,「健婦の仕事の本質は何か」を求めて,自分たちの職種の歴史を遡る学習に分け入らざるを得なかったときの思いに行きつく。そして,日本の近代看護の出発と展開を,志を同じくする者たちと牛歩の学びで積みあげ,今やっと近代以前,日本の近世の土壌の中からわが国の看護の出発点といえる,1冊の看護書の探索にたどり着いた。その足どりは,それなりに看護史研究の独自性を示しているものといえるのではないかと思うのである。
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