看護教育研究
看護系大学における看護教育学教育の現状とその課題―シラバス調査からの報告
加古 まゆみ
1,2
,
平河 勝美
2
,
林 千冬
3
,
中根 薫
3
1前神戸市看護大学
2現 Flinders University of South Australia 博士課程
3神戸市看護大学
pp.868-874
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100496
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はじめに
看護管理学と看護教育学は,増加を続ける看護系大学の多くの学士課程において,講座・分野・学科目が設置されている領域である。しかし一方,それらの教育は,保健師助産師看護師学校養成所指定規則(以下,指定規則)では看護師養成課程の教育内容に含まれておらず,これら領域に関する教科目の設定はそれぞれの大学の判断に委ねられており,実践においても大学の工夫,試行錯誤が行われている状況と考えられる。そしてその実態を縦断的に把握した資料は皆無に等しいのが現状である。
平成10年の調査では,看護系大学の約6割で「看護教育学」の科目が設定されていることが報告されている1)。平成14年4月現在で看護系大学は100校を超えており,看護学教育に関する教科目を開講している大学数はさらに増えていることが考えられる。しかし上述したように,看護教育学の教科目設定が各大学の判断に委ねられている状況では,各大学の教員の看護教育学教育に対する姿勢や考え方が,その判断に反映してくると予想される。
そこで,看護管理学,看護教育学2領域に関する看護系大学の学部課程のシラバスや,それに関する資料の調査を,それぞれについて行った。同時に,シラバスからの看護教育学科目に関する情報収集を通して,科目の設定状況やその教育内容に焦点をあて,看護教育学教育の現状を把握するとともに,今後の課題とすべきところを検討する。
なお本稿は看護教育学領域を中心に報告する。看護管理学領域については,また今後,追って述べることとしたい。
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