特集1 看護学生の論文 入選エッセイ・論文の発表
論文部門
行動制限を受けている妄想のある患者への活動性を高める取り組み
加藤 怜香
1,2
1東濃看護専門学校
2聖霊病院脳神経外科混合病棟
pp.674-677
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100343
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はじめに
D氏は統合失調症により,長期的に妄想に左右され,過去に他害行為があったことによって行動制限を受けた生活を送っていた。下肢の浮腫による歩行不安定などの理由からD氏自身が行えそうな日常生活動作までスタッフに援助され,一日中同じ場所で椅子に座り,妄想的な内容の書き物をして過ごしていた。しかし,今までD氏の行っていなかった日常生活動作を促したところ,D氏はそれらを嬉しそうに,積極的に行ってくれた。D氏の反応から,日常生活動作を行うことは,D氏にとって満足感や自信となって,活動性を高めることにつながったと考えられる。
実習期間中D氏は,穏やかな表情で過ごし,妄想に左右されることの少ない生活を送っていたようにみえる。この体験から,精神疾患患者に対する活動性を高める関わりの大切さを学んだため,ここに報告する。
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