特別記事 国立精神・神経センター・医療観察法病棟が、そのプログラムとノウハウを公開します・3
幻覚・妄想の認知行動療法
菊池 安希子
1
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
pp.44-51
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100770
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2005年に医療観察法病棟が開棟するにあたり、「統合失調症に一番エビデンスのある心理社会的介入をやってください」という依頼がありました。たしかに、医療観察法の対象者の診断名のなかで一番多いのは統合失調症だろうと予想されましたし、対象行為は精神症状の影響下で起こるため、社会復帰のためには幻覚・妄想に効果があるとされる認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy:CBT)*1をおこなう必要がありそうでした。
医療観察法対象者の幻覚・妄想は、殺人や傷害などの対象行為と結びついているので、プライバシーの守られる個人療法で扱う方がよいと考えたのですが、せめて介入初期におこなう、症状のノーマライジングや認知行動モデルの説明などの共通部分くらいまでは、経験が少ないスタッフがやっても再現性が高く提供できないだろうか……。このようなことを考えて開発したのが、本稿でご紹介する「CBT入門」プログラムでした。
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