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はじめに
少子高齢社会,高学歴社会は看護基礎教育にさまざまな課題を投げかけているように思える。いわゆる2007年問題とされる大学全入時代の到来によって,高校生は大学を選ばなければ,数の上では誰もが大学に進むことができることになる。そのため,大学は経営として,生き残りをかけて看護学部の新設に力を注いでいる傾向がみられる。2005年現在,看護大学数は128校であるが,今後まだまだ新設されるであろう。
逆に看護専門学校は2005年に3年課程が13校,2年課程20校が閉校あるいは統廃合している。しかし,全国の看護専門学校数は3年課程,2年課程を合わせると,741校を数えるので,看護基礎教育がすべて大学教育に変わるということはないであろう。看護専門学校における看護の人材育成に果たす役割は依然として大きい。このような状況のなかで,看護専門学校に脈々と受けつがれてきた教育のよい面を伝えていきたいという思いも強い。そのためにも,この時期にしっかりふり返り,教育水準のさらなる向上を図るため,自己点検・自己評価が重要である。
自己点検・自己評価については,2002年3月の専修学校設置基準改正により,看護専門学校の努力義務として課せられた。また,2003年7月に,厚生労働省から「看護師養成所の教育活動等に関する自己評価指針作成検討会」報告書1)が出されたことをうけて,各校における取り組みが始まった。さらに,和賀らの報告2)によると,自己点検・自己評価の必要性や推進,啓発のメッセージをうけて「取り組み始める」という気運が高まっているものと思われる。
神戸市医師会看護専門学校(以下,本校)は,看護師3年課程(全日制),同2年課程(定時制),准看護師課程の3課程を有する専門学校である(表1)。上述した背景のほかに,本校においては3年課程を開設して10年を経過したこと,2006年3月をもって准看護師教育50年の幕を下ろすことなどを踏まえ,自己点検・自己評価を実施し,報告書を作成したので紹介する。
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