教育学入門講座 教育・学習のしくみとはたらき・12
教職員について
森部 英生
1
1群馬大学
pp.452-458
発行日 1986年6月25日
Published Date 1986/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908256
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教職の性格
■聖職
ある中学校で1年生全員に,自分がなりたい職業を書かせたところ,‘天皇陛下のガードマン’‘中曽根首相を励ます人’というのがあったそうだ.天下国家を視野におさめたこの種のユニークな回答は,しかし全体からみると少数にとどまり,多くの生徒たちは,サラリーマンとか看護婦とか警察官とか,身近な職種をあげていたという.この傾向はおそらく年長の青年たちにあっても同じであろう.もとよりしかし,天下国家にかかわってスポットライトを浴びる職業に就くことのみがよいわけではない.地味で目立たない重要な仕事は世の中に数多くあり,むしろ現実の社会はそうしたものによってこそ支えられている.‘夏休みと遠足があるから’などというのは,いささか個人的な趣味に傾きすぎた動機で感心できないが,多くの優秀な青年たちが教職に就きたいと思っていること自体は,喜ばしい現象である.
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