特集 災害看護学構築に向けて・2
災害看護を学ぶ視点
酒井 明子
1
1福井大学医学部看護学科
pp.221-227
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100236
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災害看護の基本的な考え方――生命と生活を守る
災害看護を学ぶ視点で重要なことは,災害のあらゆる段階で,災害による苦痛と向き合って生活している人々がいることや,住みなれた生活環境の中に安らぎがあることの認識であろう。生活者としての被災者に対してどのような看護が必要か,災害看護の課題は何かを具体的にどうイメージできるかで,学習の質は変わってくる。
災害看護を学ぶには,まず,災害の歴史,定義,理論,情報,法律,災害サイクル,災害の種類や特徴などを通した災害の全体像の理解が必要となる。看護介入の実際では,災害時に必要な看護技術として,トリアージ,搬送,心肺蘇生法,応急処置,救護所の設営などについて具体的に学んでいく。ここでも,被災現場,避難所・仮設住宅における生命や生活上の問題に目を向ける必要がある。たとえば,災害時はライフラインの停止により,生活用水の不足,トイレ,ごみなどの影響で生活環境が悪化する。このため,手洗いの指導や消毒など感染症予防対策は,災害時の看護として重要である。
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