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Ⅰ.はじめに
未知の感染症である新しい感染症の中で社会的影響の大きいものが発生する可能性は常に危惧されてきたが、この度令和元年11月から中国・武漢市を中心に発生した新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)は世界的に流行拡大し、生命と生活を脅かす大規模災害となった。
今、地球規模のCOVID-19は冬季を前に予断を許さない状況である。COVID-19の影響を受けて、病院、診療所、訪問看護ステーション、助産所などの施設、感染リスクの高い高齢者のケアを実施している福祉施設や介護サービス、障がい児や障がい者施設、保育所や学校等、あらゆる地域の現場では緊張状態が続いている。患者や利用者側も受診やサービス利用を控えざるを得なくなっている。また、感染者や医療従事者への心ない誹謗中傷などによる身体的・精神的な負担も深刻化している。
このように、地球規模で蔓延し社会に甚大な影響を及ぼすCOVID-19に対しては気を緩めず人々の命と尊厳を守るための創造的対策を講じる必要がある。そのためには、刻々と変化する状況に応じた対策を講じていかねばならない。更に、学術学会としてCOVID-19のように致死性を有する感染症による大惨事を少しでも防ぐため長期的な視点で知識の蓄積を行っていかねばならない。徹底的に感染症のない社会を目指す努力は、経済的問題を加速化させ、自殺や孤独死の増加を生むなど悲劇の連鎖となる。一方で共生することも心身や経済的に多様な痛みを伴う。したがって、まずは個人個人が感染しない、感染させないための基本的な知識と努力を積み重ねていくことが重要となる。
これらのことから本学会では、一人一人が感染するリスクを下げて、個人レベル、家族レベル、地域レベル、病院・施設レベル、地球レベルで日頃から考えられる感染予防対策や感染拡大最中に発生する同時対応型複合災害にも対応可能なCOVID-19災害プロジェクトを発足した。
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