特集 災害看護の現場から─災害看護学構築に向けて・1
阪神・淡路大震災から10年―社会は看護職に何を求めているか
黒田 裕子
1
1NPO法人阪神高齢者・障害者支援ネットワーク
pp.137-141
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100219
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はじめに
阪神・淡路大震災は,一瞬のうちに6433名の尊いいのちを奪ってしまった。あれから11年経ったものの,あの日・あの時の瞬間の出来事は,つい先日の出来事のようにしっかり目に焼きついている。
筆者も被災者である。が,地震発生の早朝,たまたま4時に起床し原稿に取り組んでいたため,いま,ここにいのちがある。そして6433名の死者が残したメッセージを伝えていくのが私の役割と思い,活動を続けている。
自然災害は,さまざまな形で人々の「いのち」「暮らし」を奪っている。災害から救出→生活支援→復旧・復興→社会再生の各段階における「いのちを守る」「暮らしの再建」を通して,看護師がいま何をしなくてはいけないのか。社会は看護師に何を求めているか。筆者は,避難所・仮設住宅・復興住宅で24時間を通して活動してきた。そのなかで,これからの看護師に期待されることをしっかり見つめてきたつもりである。
筆者には,人々が「看護の再構築」を要求しているように思える。また,「医療」「福祉」「保健」の連携が求められているように思える。
これらのことは,とりもなおさずナイチンゲールが言っている「人間」と「生活」に看護の視点をおくことの意味を再確認することだと思うのだが,以下にこれらのことについて述べたい。
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