特集 震災時における循環器医療を改めて考える
識る 阪神・淡路大震災から学んだこと
杜 隆嗣
1
,
平田 健一
1神戸大学 大学院医学研究科立証検査医学分野
キーワード:
挫滅症候群
,
血液透析
,
災害対策
,
死亡率
,
心筋梗塞
,
急性腎障害
,
ストレス
,
脳卒中
,
阪神淡路大震災
Keyword:
Crush Syndrome
,
Disaster Planning
,
Renal Dialysis
,
Mortality
,
Myocardial Infarction
,
Stroke
,
Acute Kidney Injury
pp.1116-1122
発行日 2017年12月9日
Published Date 2017/12/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018060331
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わが国で震度7がはじめて適用された、都市直下型地震である阪神・淡路大震災は当時の想定を大きく上回る被害をもたらし、広域災害救急医療情報システム(emergency medical information system:EMIS)の設立やDMAT(disastermedical assistance team)の組織化、トリアージの普及やクラッシュ症候群への対応など、現在の災害医療体制の礎となる非常に多くの教訓を残した。震災関連死も同震災を契機にはじめて認められた概念であるが、その内訳の約1/3を循環器疾患が占めていた。著者等は最近、兵庫県・大阪府・京都府を含む被災地域全体で震災と循環器疾患の関連について検証し、急性心筋梗塞・脳卒中の死亡率が震災後2ヵ月にわたり増加していたことを明らかにした。また、心筋梗塞による死亡は震度の強いエリアで特に増加しており、揺れによるストレスが心筋梗塞の発症に影響した可能性がある。他方、2ヵ月にわたる震災による循環器疾患への影響については、震災後の診療体制に起因していた可能性があり、大規模災害が生じた際の対策を平時より講じる重要性をあらためて示唆するものといえよう。
(刊行時の通巻頁数に誤りがありました。本文は修正後の通巻頁数が表示されています。)
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