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はじめに
「看護技術(nursing art)とは,看護の専門知識にもとづいて,対象の安全・安楽・自立を目指した目的意識的な直接行為であり,実施者の看護観と技術の習得レベルを反映する」とされている1)。看護基礎教育において,看護技術は原理原則を踏まえ,個別的な背景をもつ対象の健康問題解決への目的を達成するために,一人ひとりにあった技術を的確に提供できるように学生に教える必要がある。教員は,限られた単位や時間の中で学生が効果的に学べるよう,日々の教育にあたっている。しかし,いかに内容を精選し教育方法を工夫しても,学生自身が主体的に学ばなければその効果は期待できない。また昨今,看護師として求められる看護技術は高度化・複雑化し,看護基礎教育の中での確実な技術の習得が求められている。
このことから,学生の自己学習をサポートする教材開発の重要性を痛感していた。そのような折,東邦大学メディアネットセンターにおいて,マルチメディアを利用した教育・研究方法の企画や運営に対する支援体制が確立した。そこで東邦大学佐倉看護専門学校と船橋市立看護専門学校では,両校の看護教員が厚生労働省看護研修研究センターの同窓生というつながりがあったため,東邦大学メディアネットセンターの力を借り,連携して教材開発に取り組んだ。学生に伝えるべき“技”は何かなど,両校の教員で話し合いを重ね,看護技術を演示して検討した。
この過程の中で,看護技術教育の根拠の曖昧さや,学校ごとに大切にしている方法などいろいろ違いがあることがわかった。その結果,学生のための看護技術習得に向けた教材開発が教員自身の自己啓発につながった。本稿では,どんな教材をどのようにして開発したのかについて,両校の教育連携を踏まえて,報告したい。
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