特別記事 旋盤工として生きてきた作家小関智弘氏に聞く
現場が人を育てる
小関 智弘
,
上田 規子
1
1神奈川県立がんセンター看護局
pp.548-554
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100081
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
職人と作家の二足のわらじをはいてきたことで,自分の労働とか,周りの人たちの人生,暮らし向きを違う目でみることができました。
上田 職人でもあり作家でもある小関さんの『職人学』を読ませてもらいました。感銘を受けた言葉を書き出してみましたら,小関さんのもっておられる感性みたいなものに,非常に興味をもちました。もともと職人だった小関さんは,感性をどう育てられたのでしょうか。
小関 私の年代というのは,今でいう中学1年で敗戦になるんですね。通っていたのは工業学校だったのですが,教育制度がガラッと変わって,工業学校は廃止され,義務教育のあいだは普通の教育になりました。その学校が,卒業前になると,また教育制度が変わって,工業科が復活してしまうんですが,私はそのときに工業科へ行かないで,工業学校の中の普通科を卒業しちゃったんですよ。私は戦争中に片道1時間の電車通学をしていたので,本を読むことが好きになってしまい,それがあって,終戦後は学校の校友会活動,今でいう部活の文芸部に入りました。文学少年の生活を中学・高校時代に送っていました。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.