焦点
「胎児・新生児の標本114体」が示すもの―ハンセン病療養所問題を考える
清水 昭美
pp.542-547
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100080
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はじめに
2005年3月1日,「ハンセン病問題に関する検証会議」(2002年9月,厚労省からの委託事業として発足,座長:金平輝子,以下,検証会議)は,2年半の討議を経てまとめた最終報告書を尾辻厚労相に提出した。検証会議の調査によると,国は90年間にわたりハンセン病患者を強制隔離し,出産を認めず,不法な断種・中絶を常態化させ,絶滅を目指したという。
最終報告書に加えて提出された「胎児標本の調査報告」は,国立ハンセン病療養所など6か所に人工流産や人工早産などによるとみられる胎児・新生児が標本として114体保管されていることを報告している。これらの報告書から,改めて過去のハンセン病対策の過ちを見直し,今できることを考えてみたい。(病名表記について,現在はハンセン病とされているが,過去の法律や記録の部分では「癩」「らい」と記されているので,原文のまま記載する。)
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