特別記事 個人情報保護法を理解するために松村雅生氏に聞く
基本は「個人情報は本人のもの,本人がコントロールする権利を持っている」ということ
松村 雅生
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1日本大学大学院法務研究科
pp.378-384
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100053
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法律施行の背景
「プライバシー」の確立
―なぜ今,個人情報保護法施行なのでしょうか?
松村 直接的には,99年8月の住民基本台帳法改正のときの,「住民票コードを作ることによって,国民のプライバシーが侵害されるのではないか,特に民間部門を対象とする個人情報保護法制がまったくないではないか」という問題にさかのぼります。それを受けて住民基本台帳法では,「法律の施行にあたって,政府は,個人情報の保護に万全を期するため,速やかに,所要の措置を講ずるものとする」と付則をつけました。これで,民間も含めた法的措置を検討する方向に向かったわけです。
さらに,今回の個人情報保護法施行に関しては,背景として2つのことがあります。法律の第1条を見ますと,「高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ」とあります。最近では,振り込め詐欺,銀行のキャッシュカード悪用など,犯罪の裏には個人情報ありとも言えます。その対応が必要になってきたということですね。これが1つ。もう1つは,国際的な個人情報保護法の整備と歩調を合わせる必要です。
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