焦点
2000―2005 年表で見るわが国の看護・看護教育の動向
三上 れつ
1
1慶應義塾大学看護医療学部
pp.353-363
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100049
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はじめに
わが国における看護と看護教育は,明治,大正,昭和を経て,平成の今日まで飛躍的に進歩・発展してきた。しかし,21世紀を迎えて,看護・医療・福祉の状況はめまぐるしく変化しており,超高齢・少子化社会への対応,生活習慣病の増加に対する予防法,医療技術の高度化に伴う教育,情報化社会に伴うプライバシーの保護,多様化する国民のニーズに対応する看護体制の整備など,早急に対処しなければならない課題をかかえている。
とりわけ,20世紀後半から検討されている臓器移植,体外受精,尊厳死・安楽死,インフォームドコンセントに対する問題に加え,この数年間で,医療ミスや院内感染などの医療管理体制,エイズ・SARS・鳥インフルエンザといった感染症,日本経済の低迷および家族関係や人間関係の変化による心の病の増加,地震・テロ・紛争による災害等々,多くの対処すべき問題が噴出している。
今後さらに遺伝子治療や個人情報管理等に伴って考えるべき課題も多く,看護専門職者としてどのように責務を果たしていくのか,重要な時期にきているといえよう。
本稿では,21世紀を迎えたここ数年の看護,看護教育の動きについて,年表で概観し,これから看護学が発展をしていくための当面の課題と方向性を見極めていく手がかりとしたい。
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