焦点 クリティカルケア看護領域における研究の動向と課題
わが国のクリティカルケア看護に関する研究の動向
山勢 博彰
1,2
1山口大学大学院医学系研究科
2山口大学医学部保健学科
キーワード:
看護研究
,
レビュー
,
クリティカルケア
,
ICU
,
NICU
Keyword:
看護研究
,
レビュー
,
クリティカルケア
,
ICU
,
NICU
pp.89-101
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100049
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わが国のクリティカルケア看護の変遷
クリティカルケアとは,突発的な事故や重篤な疾病,身体的侵襲の大きい手術などによって重要生体機能に大きな障害がもたらされ,生命の危機的状況に陥っている対象に,精力的かつ集中的なケアを施す医療を指している(山勢ら,2001)。クリティカルケア看護は,このような医療で展開される看護であり,米国クリティカルケア看護師協会(AACN : American Association of Critical Care Nurses)は,クリティカルケア看護とは,「実在あるいは潜在する健康問題に対する人々の反応を診断し,治療することであって,クリティカルケアでは特に,生命を脅かす問題に対して専門的な援助を行なうことである」と定義している(American Association of Critical Care Nurses, 1984)。クリティカルケア看護の目的は,患者の生を支え,身体的,精神的,社会的な適応をめざすものであり,そのための直接的,間接的援助を行なうことである。
クリティカルケア看護という言葉が,わが国ではじめて用いられたのは1990年代で,以前はもっぱらICU(Intensive Care Unit)看護といわれてきた。すなわち,現在のクリティカルケア看護は,もともとICUという場で展開される看護とみなされていたのである。
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