特別記事 KJ法の創始者である川喜田二郎氏に聞く
訴えている材料に素直に従う―KJ法の本質
川喜田 二郎
1
,
川喜田 喜美子
1
,
森 美春
2
1KJ法本部・川喜田二郎研究所
2滋賀医科大学医学部看護学科
pp.296-301
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100038
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取材したことをノートの紙切れに全部書きつけて,うちに帰ってそれを広げて並べたら,面白かった
川喜田 なぜ,KJ法ができたのか,まず,ことの起こりからお話ししたほうがよいでしょう。地理学をやってたものだから,1951年,奈良市の隣の山手に入ったところの都介野村に,調査に行ったんです。そしたら,村のおじさんが,山に行ったらこんな木が生えていたとか,田んぼに行ったらこうだとか,魚のこととか,あれやこれや説明してくれるんです。
私は,ノートの紙切れに全部書きつけて,いわゆるデータを取ってきたんです。それを,うちへ帰って広げて並べたら,これがおもしろかった。並べたのを端から読んでいくと,「ああ,あれはよかった」とか思い出すわけ。1回読んだだけではただ,あちこちで見たことが書いてあるだけ。ところが私はそのとき,へんな心を起こした。よし,そうだと思うだけ読んでみようって。何で根気よく読むかというとね,人間っていうのは1回見ただけではすぐに忘れてしまう。何にも重要なものを感じない。意地になってもう1回,もう1回と読んだ。なんでそのとき意地になったのか,あれが不思議だ(笑)。
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