看護教育研究
看護基礎教育のテキストにおける看護倫理の用語規定と記述内容の検討
関谷 由香里
1
1愛媛県立医療技術大学保健科学部看護学科基礎看護学
pp.140-144
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100010
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はじめに
近年,わが国においては,個人の権利意識が向上し,保健・医療・福祉サービスに対する様々な社会的ニーズが主張されるようになった。その中で,看護専門職がそれらのニーズに応えるために,看護基礎教育課程においても「看護実践能力の育成」が教育の主眼におかれ,その具体的な方向性が報告されている1)。
報告では,今後の看護基礎教育における「看護対象者の人間としての尊厳・権利の尊重に基づいた擁護者」2)の育成,つまり,看護専門職として倫理的感性に富み,豊かな人間性を有し,その社会的責任を遂行することができる人材育成の必要性が強調されている。そのためには,看護基礎教育において意図的な看護倫理教育が必要となる。
しかし,看護倫理教育を行う際に問題となるのは,フライが示しているように「倫理的概念方法」をとるのか,「倫理的課題方法」3)をとるのか,あるいは双方を折衷した方法をとるのかという看護倫理の教育方法の選択以前に,幅広い見識に基づき,普遍化された看護倫理という用語が規定(以下,看護倫理の用語規定)されていないということであろう。
そこで,本研究では,未だ判然としていない看護倫理の用語規定に関する記述の実態を把握するために,現在,看護基礎教育課程で用いられているテキストの,章あるいは項としてまとめられている倫理または看護倫理に関する記述を熟読・分析し,それぞれのテキストにおける看護倫理の用語規定について検討した。また,これと関連して,看護倫理の教育内容に関する各テキストの記述内容についても検討を行ったのでここに報告する。
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