特集 児童虐待—保健婦の役割
母と子の育児グループによる虐待予防の試み
中板 育美
1
1東京都衛生局総務部地域保健課
pp.631-636
発行日 1998年8月10日
Published Date 1998/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902906
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要約
近年,少子化社会という環境の変化に関連して,家族機能の低下や母親の育児困難が指摘されることが多い。それに対して,地域に密着した保健所や保健センターでは,子育て支援活動として,グループ活動だけを取り上げても,さまざまなレベルの多様な方法による子育て支援が行われている。
「誰にも愛されない私が,この子を愛せるはずがない」「誰も私を評価してくれない」「階段からつき落としたいと思ってしまった」など親の悲痛なこころの叫びに出会った時,子育て支援に関わる私たちは,もうこれ以上傷つけられずにすむと安心できる関係を提供できる者として存在し,援助を開始しなければならない。
本稿では,このように強い育児不安や育児困難に陥り,虐待への移行が危惧される親子を対象に行われているグループ活動の実際を報告するとともに,虐待防止のための援助活動としてのグループワークの有効性について考察する。
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