特集 子ども虐待予防
虐待予防=育児エンパワメント―医療機関からの発信
櫃本 真聿
1
1愛媛大学医学部附属病院医療福祉支援センター
pp.34-38
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100006
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児童虐待(以下,虐待)が深刻な問題となり,予防対策が取り組まれてからかなりの年数が経過したが,一向に減る傾向が見られない.住民主役の視点が強調されているにもかかわらず,「対策」という言葉の主語を考えたとき,やはり行政や専門家の住民への画一的・指導的かかわりが連想され,虐待問題への根本的な解決には到底つながらないように思える.わが国の昨今の多岐にわたる問題は,経済不況よりむしろ「関係性の崩壊」が主因だとも言われており,そうなるともはや行政施策ばかりに頼っていても改善は期待できない.
希薄になった「関係性」を再構築するためには,住民自身が地域資源を自らの意思で適切に活用していける環境の整備へ,住民と行政・各関係機関など地域全体が,目的を共有して取り掛かる必要があり,子育て支援においても,このような活動を通じた育児エンパワメント(内なる力の賦活化)の観点が重要であることを強調したい.
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