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―子どもの虐待を予防していくために―あなたはグループミーティングの運営で悩んでいませんか?
中板 育美
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1国立保健医療科学院公衆衛生看護部看護理論室
pp.446
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100172
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- 文献概要
いま,虐待予防対策の一環として親支援グループミーティング(MCG:Mother and child group)を実施する自治体が増えています。このグループは,育児にまつわる悩みやネガティブな経験の表出を仲間とのあたたかな交流のなかで実現することで,情緒的感情を取り戻し,子育てにとどまらず自分の生き方に対する自信をしみこませていくものです。
グループへの参加者は,人との関係を取り結んでいく力が比較的弱く,子どもへの虐待が危惧される母親たちです。従来の子育てグループでは,効果が期待できないばかりか「子育てが下手なあなた」を責める形になる場合もあり,このグループの必要性が浮かび上がってきました。参加する母親には,場の提供だけではなく,「無条件に安心な環境」と温もりのある人間関係が必要なのです。さらにこのグループだけで威力を発揮するものではなく,むしろ,個別援助との連続性が担保されて個々の成長を促します。自分が暮らす地域のなかで,「それなりに…だけど自分らしく生きていく」と,生きる力に結びついていくものなのです。これらを1つの仕組みとして確立し,虐待予防対策の流れのなかに根づかせていくことも,保健師の役割のひとつといえるでしょう。
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