特集 児童虐待—保健婦の役割
法的側面からみた保健婦への期待
磯谷 文明
1
1くれたけ法律事務所
pp.626-630
発行日 1998年8月10日
Published Date 1998/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902905
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要約
保健婦も子どもの虐待に関する法律について,ある程度の知識をもつべきであるが,最も重要なのが親権行使とそれに対する対抗手段である。虐待親の親権行使に対しては,現行法上,親権喪失宣告の申立てや児童福祉法28条申立てなどが用意されているが,海外の法制度と比較するといまだ十分とはいえない状況にある。もっとも,昨年に児童虐待について厚生省児童家庭局から通達が出された関係もあって,現行法の枠内ではあるが,徐々に積極的な対応がなされるようになりつつある。
弁護士が保健婦に期待することは,虐待の証拠を残すこと。親権喪失宣告の申立てなどに必要となるのはもちろんであるが,これからは,法的手段に訴えてくる虐待親に対抗するためにも重要な作業となるであろう。また,虐待家族はさまざまな法律問題を抱えていることが多く,保健婦としても日頃から弁護士との連絡を密にしておくことが望まれる。
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