発言席
保健婦への期待
加藤 良夫
pp.843
発行日 1987年10月10日
Published Date 1987/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207392
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私は名古屋で専ら患者被害者の立場から,医療過誤裁判に取り組んでいる。予防接種裁判を通して,保健所・保健婦の役割や,疾病構造の変化の中で,保健所・保健婦の方々が取り組むべき具体的課題が時代とともに移り変わってきたこと,また,いわゆる「保健所黄昏論」等も学んできた。さらに,「医療を良くする会」という小さな市民運動を一緒にやっている仲間の中に,開業されている保健婦の方がおられることもあって,私は保健婦という仕事を身近かに感ずることができる。以下,保健婦の方々に対する私の期待を述べてみたい。
高齢化社会を迎えて,地域保健活動はますます重要性を増しつつある。保健婦,看護婦,医師等が地域のボランティアとともに,一人暮らし老人や寝たきり老人の世話をするシステムづくりが試みられ,実践されている。「保健指導」と一口に言っても活動の範囲は相当に広く,保健婦の多くは多忙な業務に追われていることと推察されるが,より積極的に市民運動や地域活動に参画して欲しいと願う。保健所の外の方々との交流を通して,デスクワークでは見えてこないものを学ぶことができるだろうし,お役所的な発想を克服する機会も得られることだろう。
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