発言席
保健婦に期待すること
渡辺 庸子
1
1長野県木曾保健所
pp.241
発行日 1985年4月10日
Published Date 1985/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206973
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公衆衛生活動が社会防衛と軌を一にしていた時代から,より積極的な健康づくりへと移ってきた現在,健康問題は個人の責任において解決していくべきことであり,行政はそれをどのように援助すべきかという点が問題とされるようになり,それにともない,保健婦業務も質・量ともに大きな転換期にきている。
対人保健サービスの第一線を担っているのは保健婦であるが,自他ともに業務の中心として認めてきた家庭訪問の率が年々低下し,増加する一方の新しい仕事に内容の充実が追いつかず,どの業務も中途半端に終わってしまっているという質的不満を感じている保健婦も多いと思う。保健所や市町村という行政組織の中で働いている以上,保健婦の仕事にも行政のなし得る限界というものがあるが,行政官としての見方や感じ方しかできないならば,保健婦活動の発展は期待できない。地域住民の健康問題を一番よく理解できる立場の専門職にある者として,住民のニーズをいかに行政の施策に反映させていくか,また,そのために必要な行政能力をどのように身につけていくかが大きな課題であるように思う。
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