特集 児童虐待—保健婦の役割
虐待する加害者のさまざまなタイプと対応の基本
徳永 雅子
1
1世田谷区世田谷保健所
pp.620-625
発行日 1998年8月10日
Published Date 1998/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902904
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要約
児童虐待は社会的な問題として,保健婦にも役割や対応を求められている。筆者が関わった12事例について,加害書の類型化を試み,どんな相談や経過から虐待の問題が浮上していったのか,どのような介入を行ったのか,事例の特徴について分析を行った。
虐待ずるさまざまな親のタイプは,①育児による身体的・精神的疲労と育児への不満・不全感がある母,②幼い子どもに強迫的な育児(教育)をする母,③子どもに拒否的感情が沸いてくる母,④独善的で常識を越えたしつけをする親,⑤末熟な母親と幼い父親,⑥激しい暴力の衝動をコントロールできない母,⑦バタードウーマン(殴られ妻)の母,⑧子どもの突然死を契機にACの治療を介入した母,⑨アルコール・薬物依存症の母,⑩一見普通だが,人格障害を疑わせる母,⑪精神病(てんかん)の母,⑫知的障害者とレッテルを貼られ生きのびてきた母,に分類された。母子保健で虐待の発見や予防に対応したり,思春期問題や精神病理性の高い家族への対応なども保健婦に課せられた役割である。
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