連載 病と看護の視座—リンダ・リチャーズの人と思想・5
ベルビュー病院(その2)
小野 尚香
1
1大阪大学医学部保健学科
pp.408-411
発行日 1997年5月10日
Published Date 1997/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902884
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病院の歴史は,それぞれの社会の概念や医療ニーズをとおして辿ることができる。
たとえば,17世紀に登場したパリの「一般施療院」は,病院の原型とされているが,病人だけではなく「貧民」,「犯罪者」なども収容する施設であった。(中略)18世紀末には,「非理性」として一括されて監禁されていた人々が,知識の対象として分類され,それぞれ別の施設に収容されることになったのだ。病人は病院へ,「狂人」は精神病院へ,犯罪者は監獄へ,そして働くことのできる貧者は工場へ,といった具合である。こうして,近代的な意味での病院は,この一般施療院から分化していくことで生み出された1)。
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