連載 病と看護の視座—リンダ・リチャーズの人と思想・2
ニューイングランド婦人小児病院(その1)
小野 尚香
1
1大阪大学医学部保健学科
pp.152-155
発行日 1997年2月10日
Published Date 1997/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901524
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19世紀前半期には,医療に関わる専門職の場に女性の座はなかった。女性が医学校で学ぶことも,女性インターンが研修することも,そして女性医師が病院で働くことさえ難題であった。1848年の産婦人科の教科書には,「彼女の頭は知性には小さすぎるが,愛にはちょうどよい大きさである」という記述さえあった1)。
しかし中葉には,医療の場において,女性が自分のもつ能力を発揮し,さらに女性を専門職の担い手として育成しようとする新しい動きがみえはじめた。その背景となった当時の婦人運動woman movementは,参政権や家庭内での財産権,親権などの獲得だけではなく,高等教育や医学など専門的な職業への機会均等を求めるものでもあった。
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