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連載 海外文献紹介—東京大学医学部地域看護学教室からの発信・17
地域高齢者における認知機能とADLの低下に関する研究
Deborah Moritz, Stanislav Kasl et al : Cognitive Functioning and the Incidence Limitations in Activities of Daily Living in an Elderly Community Sample, American Journal of Epidemiology, 141 (1), 41-49, 1995.
河野 あゆみ
1
1東京大学医学系研究科博士課程・地域看護学教室
pp.402-406
発行日 1997年5月10日
Published Date 1997/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902883
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研究背景
いくつかの縦断研究によって,地域高齢者の認知障害とADLとの関連が述べられてきた。しかし地域高齢者のある一時点の認知機能が,その後のADLの低下を予測しているかどうかは明らかにされていない。しかし一度,認知機能の障害が起こると動機づけの欠如,生活習慣,家族や友人のケア不足などの身体的ではない要因がADLの低下に影響する。また多くの横断研究によって,ADL低下とさまざまな因子との関連が明らかにされてきている。
高齢者の認知機能が衰えてくることや,また地域に住む高齢者のADLが自立しているのは,一般的な知見として認識されてきている。しかし認知機能の障害が起こったあとにADLの低下が起こるかどうかを明らかにすることによって,重要な知見が得られる。このような知見は,家族,保健医療職,サービス提供者に役立つ。またADL低下による完全な依存を防ぐ介入プログラムの発展を促すであろう。
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