連載 衛生制度の開拓者たち—明治はじめ京都における政策をめぐって・2
種痘制度の育成
小野 尚香
1
1大阪大学医学部公衆衛生学教室
pp.1054-1057
発行日 1993年11月10日
Published Date 1993/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900830
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昭和29(1954)年,日本では,天然痘による最後の死者を送りました。翌年,天然痘患者1名という記録を残して,わが国での天然痘は根絶します。千年以上にわたる,人と天然痘ウイルスとの戦いの終焉でした。
千秋の過ぎ去った歴史には,なすすべもなく,天然痘に苦しみ恐れ,ただ神仏にすがった人々の姿が刻まれています。いまも残された疱瘡守護神や身代り人形などの郷土玩具にも,その祈りが伝えられています。
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