連載 ピア・カウンセリング実践講座・4—健康教育の新たな構築をめざして
高校養護教諭の関わり
田邉 幸子
1
1栃木県立小山城南高等学校
pp.55-60
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902814
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はじめに
学校における性教育は,教科保健および関連教科で教えることはもちろんのこと,年に何度か外部講師を招聘して,男女の性心理や性行動・エイズ等思春期の性知識についての講演会を実施している。しかし,教える側も学ぶ側も,痒いところに手が届かない,もう一歩踏み込めないもどかしさを感じているのも事実である。性に関する問題が,公に表面化することは少なくても,多様に潜在していることは保健室で勤務している養護教諭には周知のことだからである。教科には関係のない保健室という気安さからか,あるいは性についての相談が割合気軽にできるようなご時勢なのか,性の悩みと不安を持って保健室を訪れる生徒は絶えない。
身体面では,月経異常の心配・STDの疑い・妊娠不安など,精神面では,異性への関心・男女の性意識の違い・男女交際の行きづまりなど,さらに性被害に関することなど…と養護教諭は,性に関する問題のアラカルト状態のまっただ中にいる。そして,自尊心が損なわれたり,権威に反発したりという思春期というデリケートな年代独特の問題行動や悩みと連動して,さらに複雑な様相を呈している。したがって,時には,養護教諭として何ができるのかという無力感に襲われることも度々あった
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