特集 活動を見直し,活動を築き上げる
第14回自治体に働く保健婦のつどい集録
記念講演
保健婦・養護教諭とともに
坂本 玄子
1
1東京都世田谷区守山小学校
pp.624-638
発行日 1982年7月10日
Published Date 1982/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206547
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□はじめに□
農村が飢饉で疲弊し,都会では貧しい労働者がふえ,金融恐慌が吹き荒れ,そして日本の為政者たちが満州,中国への侵略で列強の中での日本の地位を確保しようとしてあがいた厳しい時代,1927年(昭和2年)に私はこの世に生まれました。現在は東京の世田谷区立の小学校で養護教諭をしております。養護教諭としての30年に近い年月の間,仲間とサークルを作り学習を続けてきました。そして多くの教師と一緒に教育研究団体,日教組,都教組の教研活動,と大きな教育運動に参加しながら,保健婦の仲間とも看護史,養護教諭史を書く研究活動をしています。
私は今ひしひしと仕事を通してより人間的に生きていくことを追求するために,自分の歩いてきた道を振り返ってみたい,振り返ることでまだまだ自分に何ができるのか見極めたいと思っています。かつての敗戦の時,私は思春期をその激動の中で迎えました。その時思ったことはどうしても歴史の歯車を後ろに回す役にだけはなりたくない。歴史を前におし進めるほどの大きな力はなくてもそれを邪魔することなく,少しでもいいから小さな力でも歴史が前に進むような,そういうふうな仕事をして生きたい,と痛切に思いました。今,残された人生をその意志で歩むために過去を振り返りたいと思うのです。
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