特集 学校保健と養護教諭の実態
養護教諭の思考と行動
井下田 猛
1
1思想の科学研究会
pp.25-30
発行日 1971年11月10日
Published Date 1971/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204980
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昨年,鎌倉のK学園では養護教諭が,学校側から出勤停止の処分を受けている。同校では1昨年7月,高校2年の女子生徒がクラブ活動後死亡するという事故が起こり,亡くなった遺族から学校あてに"娘の死をむだにしないで"として"学校スポーツのあり方について"という要望書が出された。これを受けた同校は,クラブ活動時の顧問教師および養護教諭の居残り,そして養護教諭の1名増員を決定し,遺族へこの旨を回答した。
もともと同校養護教諭は,"養護の仕事は病気の手当だけでなく,よりたいせつなのは事前に日ごろの健康指導をすることです。しかし,現在1,800名の生徒を対象とする事務処理,疾病手当で忙しく,このたいせつな日ごろの健康指導に手が届きません。養護教諭はもう1名必要です"と学校当局に要望していた。そこで,遺族への前記学校側回答のもとにこの養護教諭は居残りを認めたが,その後も学校側はこの増員回答を履行しないままとなっているところから,同校の女教師のみ10名で結成している組合が養護教諭1名増員の確約を迫ったところ,前述した養護教諭の出勤停止処分となったわけである。校長は,"神奈川県下75私立学校中養護教諭のいる学校は30校にすぎない。他の45校では,養護教諭の仕事は他の先生方が分担して間に合っているのだ。2人も置くなんてとんでもない"といっている。
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