特集 「健康づくり」がパスポート―海外に飛び出した保健師
【海外活動REPORT:ジョルダン】異文化の壁のなかで取り組んだ健康教育
岩島 典子
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1JR西日本大阪鉄道病院保健管理部
pp.924-931
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902698
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協力隊に応募した動機
「どうして協力隊に応募しようと思ったのですか?」。私が青年海外協力隊に行っていたことを話すと,決まってその質問が聞かれる。しかし私にとっては,「どうして行こうと思わないのですか?」と逆に聞きたいくらい強い望みだった。
いろいろな理由があるが,大きく2つになる。1番に来るのは,世界には貧しく,しかも命の危険にさらされている人々がたくさんいるという事実。お風呂にゆっくりつかりながら,(私がこんなふうにしている間にも,苦労して生きている人がいるんだなあ…)と思うと,なんだか申し訳なく,自分の知識や経験を少しでもその人たちが幸せに生きていくための役に立てられないか,と思っていたからだ。もう1つは,仕事としてのやりがいだ。当時は大阪市の保健所で働いていたので,政府から施策が下りてきて,納得いかなくても変えられず,疑問を抱えながら働いていた。協力隊なら,自分で初めから企画立案し,実施の苦労をし,成果も評価も実感できるので,ずいぶんやりがいがあるだろうと思った。人のためにもなり,自分のためにもなる。こんなにいいことはない。そう思っていたのに,30歳まで挑戦できなかったのは,決心するのにとても勇気がいったからだ。
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