研究
健康学習支援における保健婦の力量形成過程の分析—澤本のリフレクション方法を活用して
村松 照美
1
1山梨県立看護大学短期大学部地域看護学講座
pp.1070-1075
発行日 2001年12月10日
Published Date 2001/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902546
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はじめに
生活習慣病の増加という疾病構造の変化において,住民の主体的な健康管理能力の形成は重要な課題である。そのため,住民を支援する保健婦の役割は大きく,それに応えられるような専門家としての力量が求められている。
松下1)は,早くから住民の健康管理能力の形成において健康学習の必要性とその支援のための保健婦の力量形成の重要性を指摘し,多くの実践を報告している。一方,井伊2)は「現状では住民が力をつけるための援助方法論が十分ではない」としている。このような指摘と菊池3)の報告をふまえ,保健婦は住民の学習環境を基に「住民が力をつけるための援助」を可能とする専門性の発揮への追求が必須であるといえる。さらに保健婦が専門性を発揮した実践活動をするためには,「保健婦である私」が日々の実践の中から意識的な力量形成をしていくことであり,力量形成を可能とする方法を明確にしていくことが必要であるといえる。
一方,教育学における教師の実践的力量形成の研究は,教師力量形成への実践研究の成果,教師の力量形成の実態,その要素,また力量形成を可能にする方法が報告されているの。そのなかで,実践家である教師自身が研究主体である澤本の提起するリフレクション研究5)は注目に値する。保健婦の力量形成の過程を明確化するためには,澤本の実践研究が示唆に富む。そこで,この澤本の研究をもとに保健婦が研究主体となり,保健婦の力量形成の研究に取り組んだ。
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