特集 保健婦にとっての看護論
保健婦が職場集団として力量形成するために
石田 由美子
1
1奈良県葛城保健所
pp.22-26
発行日 1991年1月10日
Published Date 1991/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900178
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はじめに
私はこれまで保健婦教育に長らく携わっていたが,保健婦の採用に際して関係者の条件めいた内容に,必ずといってよいほど「『保健婦は行政のことが全くわからない』また『組織として行動することができない――組織人になりにくい』……。良く言えば個性的で,真面目に地域においての保健婦活動に熱心に努力しているが,全体の状況を見て保健婦である前に役場の職員であることを理解してほしい。このような教育を保健婦教育の中で実施していないのか」と言われたものである。
「森全体を見,木を見る(1本1本の木は森の自然環境の影響により太さ,長さ,枝振り,葉の色,落葉などに表われる。また木々の状態も森全体の姿を表わすものである)」とのたとえのように保健婦は技術者であっても,保健行政の担当者としての広い視野から,総合的に組織を理解することも必要だという示唆であったと思う。行政機関の第一線実務機関である保健所に身をおいたいま,そのことを実感している。
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