特別編 歴史に学ぶノウハウ
戦後の愛育班活動に学ぶ—発展途上国への適応に向けて
大友 優子
1
1国立公衆衛生院公衆衛生看護学部
pp.998-1004
発行日 2001年11月25日
Published Date 2001/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902537
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現在,発展途上国では,生活に最低限必要な物資すら充足しないような貧困が依然として広く存在するばかりか,最近数十年を通じて貧困が拡大かつ拡散しつつあるといわれる1)。このような国には,社会によって提供される基本的な保健サービスさえも享受できていない人々が多く存在している。この問題を解決するために,途上国の保健活動の場面においてプライマリー・ヘルス・ワーカー(以下,PHW)の存在が注目されている。彼らは「保健医療専門家の絶対数が足りず,今後数を増やすことの極めて難しい国で,簡単な教育を受け,専門家と住民との間で活動を進めるスタッフ」である2)。
わが国でも発展途上の時期には,PHWに類する人々による組織活動が全国各地で活躍していた。そのなかの1つに愛育班活動があげられる。愛育班活動は1936年に発足し,当初は乳幼児死亡率の高い農山漁村で開始され,徐々に全国へと拡大された。
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