特集 思春期保健と保健婦活動
思春期保健活動に求められるもの
荒木 均
1
,
寺門 信子
1
,
阿部 たか子
1
,
黒江 悦子
1
,
大森 葉子
1
,
近内 友
1
,
小沼 文子
2
1茨城県鉾田保健所
2茨城県常陸太田保健所
pp.618-622
発行日 1990年8月10日
Published Date 1990/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900097
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はじめに
老人が増え,子どもの出生率が低下するなかで,思春期にある青少年は,将来の日本を背負っていく大きな力となる人々である。また,思春期を子どもの発達の視点から考えると,大人になる曲がり角に当たり,ここでの失敗は大人になるのが阻止されたことを意味する。思春期を円滑に越えることは,地域社会にとっても個人にとっても大切な問題で,この思春期を通過するための援助が,思春期保健活動である。
思春期保健活動には大きな2つの流れがある。1つは母子保健のなかでの健全母性育成事業で,若年妊娠の増加に備えるため,思春期にきちんとした性教育を施そうとするものである。もう一方は精神保健のなかでの思春期精神保健対策で,登校拒否,家庭内暴力などの適応障害や不安,抑うつ,無気力などの神経症的症状,拒食,腹痛などの心身症的症状を持つ青少年,および有機溶剤などの薬物依存に対処するため,思春期の心の健康を促進させようとするものである。
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