特集 思春期保健のこれからのカタチ
【活動事例4】非分裂病思春期問題の子どもをもつ親への支援プログラ
田上 美千佳
1
,
新村 順子
1
,
皆川 邦直
2
,
中澤 富美子
3
,
村井 雪恵
3
,
濱田 龍之介
3
1東京都精神医学総合研究所
2法政大学
3東京都中部総合精神保健福祉センター
pp.698-703
発行日 2001年9月10日
Published Date 2001/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902484
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思春期青年期の精神保健問題への支援の必要性
不登校・家庭内暴力,いじめ・いじめられ,退学・万引きや性非行などの虞犯,ならびに殺人などの凶悪犯罪にまで至る思春期青年期の精神保健問題(以下,思春期問題)は社会問題化し,社会的な対策が求められている。昨年12月15日付けの新聞によると,授業妨害などで出席停止の措置を受けた中学生は,昨年度全国で延べ84人にのぼり,前の年の1.5倍になったことが報道された。平成11年度に年間30日以上欠席した不登校生徒数は,小中学生約13万人,なかでも中学生は10万4180人であり,平成10年度より増加している。また,平成12年度の刑法犯少年は13万2336人で,14〜16歳までの低年齢層が全体の約67%を占めることが報告されている。
思春期問題は先進国特有の問題であり,核家族化,地域社会のもつ養育機能の低下,ならびに過重な親の養育責任などによって生じることが指摘されてきた。また,わが国は具体的な公的援助システムが不十分であるという現状がある。表層的な策では問題の解決につながっていかないことは,現在マスコミを騒がせている思春期問題を鑑みても明白である。思春期問題の1つである「ひきこもり」については,平成12年度の厚生科学研究で『10代,20代を中心とした「社会的ひきこもり」をめぐる地域精神保健活動のガイドライン(暫定版)―精神保健福祉センター・保健所・市町村でどのように対応するか・援助するか』という報告書が出されたところである。
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